皆保険50年で社会保障を検証

 

 

 厚生労働省は8月23日の閣議に、厚生労働白書を報告しました。国民皆保険・皆年金制度実現から半世紀を経たことを節目に、50年間の社会保障を検証するとともに、社会保障・税一体改革成案決定をふまえ、今後の方向性を展望しました。一体改革の必要性を国民に理解してもらうことを狙っています。

 

 白書は社会保障制度の半世紀を振り返り、社会保険を中心とした制度の拡充で皆保険を達成し、死亡率低下や平均寿命で世界最高水準を達成したことを評価しました。年金についても増額を重ね、高齢者の経済状態が改善したとしました。

 

 医療サービスは自由開業医制、フリーアクセス、診療報酬出来高支払制の下、民間医療機関の整備が促され、サービス提供の基盤が整備されました。国民皆保険により医療施設数や従事者数が増加しました。 一方、社会的入院や3時間待ちの3分診療、医師不足などの問題が生じました。

 近年になって経済状況に変化が生じると、給付改善一辺倒の政策は限界に近付き、各制度に見直しが必要になってきました。特に国民健康保険は加入者の多くが高齢者と低所得者に偏り、財政悪化につながっています。保険料収納率も減少傾向が続いています。

 

 これからの社会保障の展望では、社会保障・税一体改革成案で示された考え方に即し、社会保障の再分配機能が高齢者に偏っていることを是正し、現役世代に配慮した社会保障が必要と指摘しました。理念的には皆保険が「救貧」から「防貧」への転換を可能としましたが、現在ではすべての人の社会への参加を保障する「参加型社会保障」をめざすことが必要としています。

 また、現役世代が現在の社会保障の給付と負担に納得していないとのデータを紹介するとともに、世代内でも不公平が生じているとしました。