「出資額限度法人」の制度化に向けて検討スタート 

(厚生労働省検討会が初会合)

 

 

 出資持分に応じた社員の払戻請求権を払込出資額の範囲内にとどめる「出資額限度法人」の制度化に向けた具体的な検討がスタートしました。厚生労働省の「医業経営の非営利性等に関する検討会」(座長・田中滋慶応大学大学院経営研究科教授)は17日初会合を開き、出資額限度法人の要件などに関して年度内に結論を出すことを確認しました。

 

 出資額限度法人は、社員の任意退社などに伴って発生する出資持分の払戻請求権や、解散時の残余財産分配請求権を出資額内に限定する制度です。通常の医療法人社団では、出資額に加え、剰余金などの「含み益」についても出資額に応じた払戻請求が認められており、場合によっては医業経営を脅かす恐れがあります。

 

 厚生労働省によりますと、全国の約3万7000の医療法人のうち、出資持分を放棄した特定医療法人と特別医療法人に移行した例は延べ385にとどまり、全体の98%は依然「持分がある医療法人社団」となっています。

 

 17日に開かれた「医業経営の非営利性等に関する検討会」の初会合では、出資額限度法人の制度化に向けて、同法人の位置付けや物価下落時の払戻請求に対する対応のほか、将来の特別・特定医療法人への移行を念頭に置いた時限的な制度にするかどうかといった論点が示されました。このうち、出資額限度法人を経過的な位置付けにするかどうかという論点に関しては、「特定・特別医療法人に移行したくても、出資額の全額放棄を望まない出資者もいて意見がまとまらないこともある。出資額限度法人は恒久的な制度にしてほしい」(豊田堯委員・日本医療法人協会長)など否定的な意見があります。

 

 一方、当時1000万円を出資したものの、その後の物価下落で請求時点では500万円の価値しかなくなった場合には、厚生労働省はそのまま1000万円を支払うことは疑問視しています。「『出資額基準』というのであれば出資額になるが、『出資額限度』なのだからその範囲内で対応するべきでは」(医政局指導課)と物価スライドさせたい考えです。

 

 公益性を確保する観点から、出資額限度法人となったら再び医療法人社団には後戻りできなくする方向で調整が進むものと見られます。税制についてもクリアするべき課題が多く、当面は11月中旬の中間まとめに向けて急ぎ足の議論になりそうです。